道の途中で、
手を差し伸べてくれた人がいる。
いつもより頑張れた自分がいる。
だから、人間関係って面白い。道の途中で、
手を差し伸べてくれた人がいる。
いつもより頑張れた自分がいる。
だから、人間関係って面白い。
PROFILE
磯 友輝子Yukiko Iso
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日本大学国際文化学部および名古屋大学文学部を卒業。大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了、同大学院博士後期課程単位取得退学。同大学院助手を経て、2007年4月より東京未来大学こども心理学部講師。2011年4月よりこども心理学部准教授。2012年4月より、モチベーション行動科学部准教授。2020年4月よりモチベーション行動学部教授。モチベーション研究所研究員。
専門:
社会心理学
主な担当科目:
コミュニケーションの心理学、クリティカル・シンキング、コミュニケーション・スキル、心理学研究法 など
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心理学に興味を持ったきっかけは?
勉強よりも、本を読むことが好きだった。
人間の心理描写にワクワクするから。音の仕組みに興味があるので音響工学が面白そうだ。薬学部で漢方を学んでみたい。将来をふわっと考えて理系クラスにいた高校3年生のとき、数学の先生に「薬学部に向いているかどうか自分の目で確かめてこい」と、当時では珍しいオープンキャンパスに放り込まれました。現実に目を向けない私に先生もしびれを切らしたのでしょう。理系なのに、化学や物理の成績がよろしくない。一方で、古文や英語が得意。でも、暗記が苦手で歴史も覚えられない。当時は勉強の仕方もわかっていなかった上に、学校での学びが何につながるのかを全く理解していませんでした。でも、好きなものにはのめり込む。浪人中、予備校までの片道2時間の電車の中では、参考書を読めばよいのに、好きな本を読んでしまう。純文学、推理小説、SFなどいろんなジャンルの本を読んだけど、特に登場人物の心の描写に惹かれた。予備校の授業でも、現代文の先生が「ここに主人公の苦悩が表れている」などと分析してくれるとワクワクして聞き入った。出願目前になって、「私は人の心の変化に興味があるのかも!」と気づいて心理学部を受験しましたが、残念ながら不合格。最終的には、なんとなく受験した国際関係学部に進むことになりました。
しかし、ここで自分自身が大きく変わる気づきを得ることに。さまざまな歴史や文化の成り立ちを学ぶ授業で「ある人物が、どんな目的でどう動いたから、その後の世界がどう変わっていったのか」という具合に人の目線で歴史をつなげて見てみるとすごく面白いと気づいたのです。それまではひたすら暗記することが勉強だと思いこんでいたのですが、こことここがつながるんだと分かると、歴史が物語になる。勉強することでこんなに視野が広がるのか、だから学問があるのか、と目からウロコでした。それからというもの、勉強が楽しくなりました。ちなみに、所属した異文化コミュニケーションのゼミで読む文献の多くが心理学。やっぱり心理学をやらなきゃなと改めて思いました。また、当時、私は友人から就活の自己分析の相談をされることも多く、それも心理学に興味を持つきっかけになりました。ある友人が「実は人と話すのが苦手なんだ」と打ち明けてくれたんです。私から見れば明るくて外向的な人なんだけど、本人にとっては、人とのコミュニケーションが得意とは限らないのか。自分に対する見方と周りからの印象はずいぶん違うな。その時、対人認知や対人不安というキーワードに出会いました。それからは、しっかり心理学を学びたいと思うように。大学院に進学するか、学部で学び直すのか迷っていたのですが、とにかく専門の先生に相談してみようと思って、その分野の著名な先生に手紙を送りました。その先生から「まずは心理学の基礎を学んではどうか」とのアドバイスをいただきまして、大学を卒業後に学部に編入することに。やっと心理学にたどり着くことができました。 -
研究内容について
対人不安、コミュニケーションスキル、
ジェスチャーなどの非言語行動との関連。他学部からの編入。大忙しの日々でしたが、興味深い学びがたくさんありました。心理学といってもいろんな分野があるんですよ。特に興味をもったテーマは、コミュニケーションスキルと、うなずきや表情、視線、ジェスチャーなどといった、非言語行動との関係です。卒論は「ジェスチャーが話のわかりやすさの認知にどう影響するか」というテーマで、話が上手いと思われる人は、ジェスチャーの使い方にも違いがあるのではないかと考えて研究しました。大学院で行った研究の一つでは、嘘とジェスチャーの関係について検討しました。たとえば、嘘をついているとき、人はどのようなしぐさを示すのか、気になりますよね?特に、自分が他者からどう見られるのかを気にかけ、自分の振舞いをコントロールする傾向が強い人は、自分の嘘が見破られないように、また、相手に自分の意見を納得させるようにジェスチャーを使うだろうと予測して実験をしました。結果は、嘘かどうかは関係なく、状況や相手にあわせて行動をコントロールする人がジェスチャーを使い分けていました。仮説とは違う結果でしたが、「なぜそうなったのか」を考えることも楽しかったですよ。
東京未来大学にきてから、共同研究が増えました。ここ数年は、モチベーション研究所の研究員として、墨田区教育委員会事務局すみだ研究所と共に、小中学生の学習意欲の向上についての研究に取り組んでいます。調査の結果、学習時間と成績は関係せず、内発的動機づけの高さが翌年の成績につながっていることが分かりました。ワクワクする!面白い!など、好奇心や探究心、向上心など、本人の内部から行動を引き起こす内発的動機づけがないと成績は上がらないんですね。では、内発的動機づけを高めるためにはどうすれば良いか。源泉は3つ。一つ目は自分が周りの人に受け入れられている、また、頼られていると思える「他者受容感」。二つ目は自分はできると思う「自己効力感」。三つ目は自分で決めたことだと自覚する「自己決定感」。自分自身、落ちこぼれで、「心理学を勉強する!」と自分で思えるまで勉強に身が入らなかった経験があるので、とても納得感がありました。最近では、日向野智子先生の研究チームで、保育士のコミュニケーションに関する研究にも取り組んでいます。 -
学生へのメッセージ
人生の岐路に立った時、いつも誰かが助けてくれた。
周りの支えがなければ、今、ここにいなかったと思う。ふり返ると、これまで、他の先生と協力しながら進める共同研究が多いです。他の先生と組むと、気づきもたくさん得られます。そもそもこれまでの人生、いろんな先生方、先輩方に助けてもらいながらやってきました。大学院か学び直しか迷ってお手紙で相談をした先生も、その先生の研究室の院生さんも、見ず知らずの私の進路の相談に乗ってくださった。編入した名古屋大学の先生方にも大変お世話になり、大学院進学の際「やりたい分野が少しでも違うなら、専門分野の先生のところに行きなさい」と背中を押してくださった。大学院を受験する時には、過去問集を送ってくださった先輩もいました。お世話になった方々の顔が今でもはっきり浮かびます。自分を支えてくれる人がいると思えること、つまり、他者受容感が今の私のモチベーションを生み出しています。
そういえば、4年生の時に参加した学会で奇跡的な出会いがありました。どこの大学院に行こうか迷っている時期に大学の先生方から「きみが研究したい内容ならこの先生しかいない」と、のちに東京未来大学の学長にもなられる大坊郁夫先生のお名前をうかがいました。当時、大坊先生とは面識はなかったので、先生のホームページからメールアドレスを調べて、ご相談のメールをお送りして祈るような気持ちで返信を待っていたところ、学会の受付付近で偶然お隣に立っていらしたんです。これは運命だと思いました(笑)。それがきっかけで、次の学会でもお話ができましたし。東京未来大学は、人のつながりを大切にする校風の大学ですが、それは教員同士の関係も同じです。私はこども心理学部の教員として着任したのですが、まもなく新しい学部であるモチベーション行動科学部が新設され、異動することになりました。モチベーションの研究と言えば、現学長である角山剛先生。角山先生とも大坊先生とのつながりから面識がありましたので、ご一緒できると決まった時は、嬉しかったですね。いろんな人とのつながりやご縁が交差しながら、人生は進んでいく。学生のみなさんも、人との出会いやつながりを大事にして充実した毎日を送ってほしいと思います。
想いをもって努力していれば、
応援してくれる人が
きっと見つかります。
学生のみなさんが前に進めるように
私も大きなエールを送りたいです。
3つのキーワード
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01映画や海外ドラマが好き!
最近は子育てや仕事の隙間に見やすい、一話完結の海外ドラマがお気に入りです。時々、映画館でリフレッシュ。子どもを保育園に預ける時、最初に「慣らし保育」というものがあるんですね。初日は2時間くらいでお迎えにいくのですが、その合間で映画を観に行ってしまいました(笑)。今は子どもたちと一緒に映画を観に行きます。写真は、お気に入り映画ベスト5です。
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02子どもという存在
子どものおかげで人生観が変わりました。育つ姿を見るのも楽しいですし、ケンカをするのも楽しい。自分の言ったことが、どう影響するのか。手探りで怖い反面、興味深くもあります。子どもの成長を見ていて「本に書いてあったのはコレか!」と、学んだことの答え合わせができる場面も多い。小さな子どもが、鏡の中の自分をいつ自分だと認知するかなど、ちょっとした実験をしてみたことも。子どもが小さい頃、高いところから親をめがけて飛び込んでくる姿に、絶対に受け止めてくれると親を信頼しているんだなと、子どもを守る親の責任を実感しました。
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03副委員長タイプ
副委員長、副部長。小学生の頃から、ありとあらゆる「副と名のつく役職」を経験してきました。トップとしてどーんと構えるよりも、実務をサポートする「副」が向いているんだな、と気づいたのは中学生の時。大人になってからも、変わりません。大学内でもどちらかというとサポート役です。物事がうまく進んで、みんなが喜んでくれることが私にとっては幸せなことなので、これが天職なんじゃないかと思っています(笑)。
こんなこと学べます、
ゼミ生たちの卒業論文
対人印象における音声についての研究―音声の高さに注目して―/接客時の顔面表情と挨拶行動が印象形成に及ぼす影響/対人関係の親密度が断り行動に与える影響/失恋経験と自己成長感の関連性の検討/ステレオタイプ脅威の生起条件の違いがパフォーマンスに与える影響/聞き手の会話への関わりが話し手の自己指向的ジェスチャーに与える影響/対人コミュニケーション形態の一つとしてのユーモア表出に関する研究/「ありがとう」でイライラは収まるのか―感謝表現が受け手の怒り感情の鎮静化に与える影響―/ストレスマインドセット介入方法の違いがストレス認知に与える影響―対人ストレスに注目して―/ダイエットは自分のためか、他人から見た自分のためか―メディア接触による痩身理想の内在化と痩身願望の関連性の検討―
著書・論文
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対人ストレスに注目したストレス・マインドセット介入によるストレス認知への影響
[論文]共書/モチベーション研究/2022年
通信課程のゼミ生が筆頭著者となり、卒業研究を論文化したものです。「ストレスは役に立つ」というマインドセットを形成することによって、ストレス認知と精神的健康にどのような影響を及ぼすのかを介入研究により検討しました。
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Before/Withコロナに生きる社会をみつめる
[著書]共書/ロギカ書房 /2021年
心理学、医学、少子化対策、都市計画、不動産など様々な分野の専門家がBefore/Withコロナへの考えを述べた書籍です。担当章(第6章)では、コロナ禍で見られた対人コミュニケーションの変容と今後への展望を論説しました。
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保育士同士の効果的なコミュニケーション
[論文]共書/電子情報通信学会技術研究報告/2019年
保育園の施設長のインタビューをテキストマイニングで分析した論文です。施設長による保育士間コミュニケーションの良好さ認知には、職務関連話題やプライベートな話の多さが関わり、施設規模によってもその特徴が異なっていました。