つながると、よくわかる。
学習も、人生も、
おなじだと思います。
つながると、よくわかる。
学習も、人生も、
おなじだと思います。

SCROLL

PROFILE

Hiroko Kobayashi

詳細をみる

東京大学教育学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員PDを経て、2012年4月より東京未来大学モチベーション行動科学部助教。2015年4月よりモチベーション行動科学部講師。2018年4月よりモチベーション行動科学部准教授。博士(教育学)。

専門:

教育心理学/認知心理学

主な担当科目:

教育・学校心理学A、知覚・認知心理学、クリティカル・シンキング など

  • 教育に興味をもったきっかけは?

    本を買ってくれた母。印象的な高校の先生。
    子ども心に憧れた、先生たちの背中。

    幼い頃、両親、祖父母と曽祖父母も含めた4世代で同じ屋根の下に暮らしていました。私の遊び相手になってくれたのは、曽祖母。だから、外遊びよりも絵本など室内で遊ぶことが多かったんです。その影響もあって、大の読書好きに。当時の悩みは、どんどん読むので読む本がなくなってしまうこと。両親は、本は私が欲しいというだけ買ってくれたのですが、それでも自分の本だけでは足りなくなり、両親の本棚からもちょこちょこ拝借。すぐに読み終わらないようにと、なるべく分厚い本を選んでいたちょっと変わった子どもでした(笑)。母の本棚には教育関係の本も入っていましたね。母が小学校の先生だったので。私はいま教育心理学の研究をしていますが、教育に興味をもった最初のきっかけは母。母の本と、担任しているクラスの子どもや授業について考えている様子を見て、子ども心に先生ってなんだか面白そうだと思ったことを覚えています。

    もう一つきっかけがありました。私は東京大学に進んだことで教育を研究することの面白さと出会ったのですが、東京大学に進もうと思ったのは、高校の先生方の勧めがあったからです。将来は先生になりたいなと思っていた私に、知識の大切さを説き、多くを学べる場所を目指せと背中を押してくださいました。特に、高校1年生のときの担任の先生は、東京大学教育学部のご出身で、とても面白い英語の先生でした。高校生相手に中南米の楽器の話や、世界の言語や文化など、いろんな話をしてくださいました。英語や学問への造詣が深く、とにかく知識量が豊富。高校の英語のテストには出ないような知識なのですが、こんなことも学べるんだ、学びの先にはこんなに世界が広がっているんだとワクワクしました。好奇心を刺激してくれて、視野を広げてくれた先生方。今でも感謝しています。

  • 研究内容について

    勉強に苦手意識を持っている子ども。
    誤解を解いてあげるのも心理学の仕事です。

    東大の教育学部は教師になるための場所というよりも、教育を研究する場所でした。私が進級したのは、教育心理学コース。中でも認知心理学や発達心理学を学び、それを教育に応用することに興味を覚えました。人はどのようにものごとを考え、意思や行動を決定しているのか。子どもが学習でつまずく時、そこにはどのようなメカニズムが潜んでいるのか。どうしたら、つまずきを解消できるのか。まさに私が現在まで研究している分野です。学習方法や意欲を科学的なアプローチで解明していくこの学問は、教師になったときに役に立つ、現場に還元できる研究だと感じ学び始めました。それと面白かったのが、過去の自分の勉強法が理にかなっていたのかどうか答え合わせができたこと。私は中高生の時、暗記が苦手でした。必然的に暗記が多い社会は一番の苦手教科に。どうすれば覚えられるだろうと考えた当時の私は、ヨーロッパからアジアまで横に展開する巨大な年表を作ることにしたんです。世界史の教科書では別のページに書かれているけれど、関連が深い出来事とかありますよね。ある地域の出来事が、別の地域の出来事に影響を与えていた、ということが見えてくると理解できて覚えられる。わからないことがあっても、知っていることが一つでもあれば、そこを起点に答えを手繰り寄せることもできるようになる。心理学用語でいう、覚えたい情報に別の情報を付け加えて覚える「精緻化」や、精緻化したものを年表やマップなどの図表にしてまとまりとして覚える「体制化」を、自分なりにやっていた。高校生なりの苦肉の策だったのですが、案外、理にかなった勉強方法だったということがわかったのです。

    研究で学校現場にいくと、時々、「できないよ、だって馬鹿だもん」と言う子どもがいます。そんな時、「そうじゃないよ。勉強のやり方がわからないだけだよ」と話をします。学習内容の意味を考えたり、知識と知識をつなげてみたり、図にしてみたりと、学び方次第で理解度がガラリと変わることがある。それを教えてくれたのが、大学・大学院時代にお世話になった恩師の市川伸一先生です。先生は研究室に閉じこもるのではなく、頻繁に学校に足を運ばれる方でした。たとえば、勉強がわからないという子どもの認知カウンセリング。漢字が覚えられないのはなぜか。数学の問題が解けないのはなぜか。具体的に困っている問題や、その背景にある学習に対する考え方や学習の仕方についてヒアリングして、認知心理学を理論的背景に、原因と解決策を探る。検証する。その現場に私は大きな衝撃を受けました。心理学ってこんなに子どもの成長に役立つんだと知ったのです。そこで、市川先生の研究室の大学院生が行っている活動に大学3年から参加させていただきました。大学4年では、自分が子どもたちに対して実際に授業を実施してそれを卒業論文にしたいと先生に相談しました。市川先生には「どうやってやるの?難しいのでは?」と言われたのですが、ここでまた母が登場!母の勤めている小学校にお願いして夏休みに実施させてもらえることになったのです。この研究、夢中になりすぎて寝食を忘れて倒れてしまったことも。私は同時進行でいろんなことをできる器用なタイプではないと、つまずいたことで学びました(笑)。

  • 学生へのメッセージ

    AIが答えを出してくれる時代だからこそ、
    その答えが正しいのかどうか、どう使うべきなのか
    判断するための知識を身につけてほしい。

    教員志望だった私ですが、研究を通しても子どもの成長に関われると知って、研究者の道に。博士課程の時に結婚して二度の出産も経験。早稲田大学で日本学術振興会特別研究員PDを務めたあと、ご縁があって東京未来大学へやってきました。教育の研究をしながら、大学生の先生もやることになったというわけです。人生って面白いなあと思います。研究活動も先生としての活動も、私の中ではつながってるんですよ。根っこにはいつも子どもたちの役に立ちたいという思いがあります。たとえば、学部生時代、卒論の題材として、理科の授業を研究していました。実験したら仮説と違う結果が出た。そんな時、子どもは何とか仮説を支持しようとするんですよ。「AとBは差がない」という結果でも「ほんのちょっと差が出た」とか言ってしまう。これは「確証バイアス」といって自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定する都合のよい情報ばかりを集める傾向のこと。理科授業の実験場面で、こうした思考の誤りを修正する方法を提案し、子どもの理科学習をスムーズに進めるとともに、理科学習は楽しいという気持ちを高められたらいいなと思っていました。この「確証バイアス」、理科授業場面に限らず、大人も「自分もそういう傾向があるかも」とドキッとする話ですよね。小・中・高校生の学びを、研究を通して手助けするだけでなく、その結果を大学生に教える立場になって、大学生の学びも促せるようになったと思っています。心理学研究って学問として興味深いだけでなく、人が生きていくうえで役に立つ事柄が多いんですよ。

    モチベーション行動科学部の新設時から教えているので、かれこれ10年。時代の変化も実感します。ChatGPTなど誰でも手軽に使える人工知能ツールが登場してきて、翻訳も文章作成もなんでもやってもらえる時代になりました。では、人間がやるべきことは何か。たとえば、AIが間違った時に気づけるか、修正することができるか、AIの出してきたものをどう利用していけるかということなんだと思います。こうしたスキルを身につけるためには、まず自分の中に知識を持つことが必要です。新しい情報が入ってきた時に、自分の中の知識や経験とつなげて考えて、判断するわけですから。いろんなことを学び、いろんな経験をして、自分の中に知識を育ててほしい。目の前の世界が、これからの未来が、もっともっと充実すると思います。

経験したことや、学んだことは、
自分で考えたり、
判断するための基盤になる。
自分の中に知識を育てましょう。

Humans3つのキーワード

  • 01散歩

    気を抜くと運動不足になってしまうので、よく散歩に出かけています。休みの日の夕方、娘に声をかけて、一緒に歩くことが多いですね。歩いていると他にやることもないので、近況や気になる話題など、とりとめのない会話がたくさん生まれます。頭を空っぽにする。ゆっくり時間が流れる。そんなひと時が日々の暮らしの中で大事なんじゃないかと思います。ちなみに、たまにカフェオレを買って飲んだりするので、消費したカロリーはすぐにリセットされます(笑)。

  • 02いろんな言語を話したい!

    言語に興味があります。大学時代の第二外国語はスペイン語。スペインやペルー出身の先生方と積極的にお話していました。いろんな言語を話せるようになりたかったんです。手話サークルや手話講座にも通っていました。手話も、外国語と同様、言いたいことをどう表現すればいいかを考えるのが面白い。たとえば、手話を使ったパフォーマンスで注目された「碧いうさぎ」という曲。手話で表すには「青」と「うさぎ」のジェスチャーを組み合わせればいいのか、というとそうじゃない。違う意味(青色のうさぎ)として伝わってしまいますよね。仲間や先生と「淋しい」と「うさぎ」の方が正しく伝わるのでは?と話したり。他にも、手話には「見る言語」としての特徴があり、知れば知るほど、言語の奥深さを実感します。

  • 03家族の本棚

    家族それぞれの部屋にも本棚があるのですが、リビングルームには家族の本棚を置いています。ぜひ家族にも読んでほしいなと思う本を本棚に残す。私だけでなく、夫も、子どもたちも置いてくれます。本ってその時の気分とかタイミングで興味を持つことがありますよね。いろんな本を置いていると、欲してるものにふと出会える面白さがある。みんなが好きに置くので、ジャンルも並べ方もバラバラで統一感がないんですが(笑)。それもそれで味わいかな、と思っています。

こんなこと学べます、
ゼミ生たちの卒業論文

課題価値認知と自己調整学習方略使用が学業的延引行動に及ぼす影響/オンラインでの学生間コミュニケーションを取り入れたオンデマンド授業の提案—心理学における対面授業との比較検討—/動機づけが他者の学習行動の観察に及ぼす影響—他者の学習態度の違いを考慮に入れて—/論文構造に関するガイダンスが心理学系学術論文の理解に及ぼす影響/絵本の理解における挿絵の効果/日常的な香りがメンタルワーク時のパフォーマンスや気分に及ぼす影響―コーヒーの香りを用いて―/大学生の職業選択関与におよぼす自己効力感と周囲からのサポートの影響/他者からの言葉掛けが気分不一致再生に与える影響/3囚人問題の納得度はどうしたら上がるのか―表記と事前確率の変形による影響―/思考スタイルがリスクテイキング行動に及ぼす影響―フレーミング効果を踏まえて―

など

著書・論文

  • 教育心理学の実践ベース・アプローチ―実践しつつ研究を創出する―

    [著書]共著/東京大学出版会/2019

    教育心理学者が実践をしつつ研究するという「実践ベース・アプローチ」による研究の進め方がまとめられている。担当章では、授業を創って行う実践研究と、その授業を構成する指導の効果を検証する心理学実験研究を組み合わせた研究の進め方を解説した。

  • 理科教育に関わる心理学研究の展望―学びのプロセスから授業を考える―

    [論文]単著/教育心理学年報/2019

    理科教育について、心理学の観点から検討した論文。子どもが理科を学習していく際にどのようなつまずきが存在するのか、また、それを克服する方法としてどのようなものが提案されているのかを整理し、今後の研究、実践の在り方を展望した。

  • アカデミック・スキルの育成を目指す初年次教育における利用価値介入の提案

    [論文]共著/東京未来大学研究紀要/2022

    大学の授業改善を図った実践論文。アカデミック・スキルの育成を目指し、その利用価値の認知にはたらきかける初年次教育の一授業を提案して、実施、効果検証までを行った。

研究者詳細

Humans